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2011年8月6日土曜日

廃墟の前で祭をやる強さ

津波の爪痕もまだまだ残る石巻市。旧北上川を赤や黄色、白や青の灯篭が漂っていきました。


石巻で毎年開催される「川開き祭」。
本来は治水をやった孫兵衛さんの偉業をたたえ、また海難事故犠牲者を弔うためのお祭り。
http://kawabiraki.jp/what/ (←詳しくはこちらをチェック)

今年は東日本大震災の慰霊の想いを込めて、例年を遥かに上回る1万個の灯篭が作成されました。
石巻に数多くいる全国からのボランティアが、地元の人と協力しながら組み立てました。

1万個の灯篭のうち、数千個は市民の方が亡くなった家族のために心を込めて書いたものです。
前もって各地から集められ、全て溶ける材料を使って当日組み立てるという手はずになっていました。

(※写真 "110731灯篭流し1")

赤や黄色の灯篭を見ると、天国にいる家族へのメッセージが目に入ります。
「ごめんね。助けてあげられなくて」
「生まれ変わってもまたパパとママの子供に生まれてきてね」
「大好きだよ」
「本当にありがとう」
「あなたといれた○○年間、本当に幸せでした」
「元気でね。ばあちゃんと仲良くね。」
と、簡単な文章なんですが、深い愛情や悲しみが込められていて涙が出てきます。

「一つ一つの灯篭が魂を持った犠牲者です。」こんな代表の挨拶とともに始まった灯篭流し。、
大勢のボランティアと地元の方が並んで、灯篭が流される浮き島までリレーで運びました。

(※写真 "110731灯篭流し2")

中には「この兄弟を一緒に流してやってください」と1万の灯篭の中から自分の御家族の
分を見つけられた方もいらっしゃいました。
仲良く寄り添い、灯りを揺らめかせながら流れて行く二つの灯篭。
この灯篭にどんな想いを馳せたのか。その深い悲しみは推し量ることすら困難です。

(※写真 "110731灯篭流し3")

徐々に暗くなっていく旧北上川の空。
その下で1000を越える魂が自分達の手を越えて川に流れ、そして消えていきました。

(※写真 "110731灯篭流し4")


2日目。
初日の追悼の雰囲気とうって変わって「お祭り」らしい催しがたくさん行われました。
商店が立ち並び、ステージが設けられ、有名人の登場やミッキー&ミニーの登場に街は湧きたちました。
「こんなにたくさんの若者がいる!!」
どうしてもご高齢の方と接する機会の多い私たちにとってはそれだけでびっくりです。

(※写真 "110801川開きミッキー")

ふと冷静になってみるとすごい光景です。
津波で廃墟となった建物の前に屋台が出ていて、そこに人が行列を作っている。
「人間って強い」そう思わせるひとコマでした。

傾いた建物の周辺で大勢の人が見上げる中、夜空を4500発の花火が染めていました。

(※写真 "110801川開き花火")

この時期に地盤沈下も著しい海周辺に人を密集させるような祭はいかがなものか」
と開催についても賛否両論あったようですが
2日間に及ぶ祭が無事に終わった今、この地元に愛された「川開き祭」が
多くの市民の方の大切な節目となり、復興の足掛かりになることを心から願います。


最後に、リーダーのまなみちゃんがこんなメッセージを皆にしてくれました

「震災から5カ月。石巻の人たちの中にはやっと立ち上がり、歩み始めようとしている人がいる。
でも、同時にまだ座り込んで立ち上がる気になれない人もたくさんいる。
今日は立ちあがって歩いていこうという市民の人たちと一緒にお祭りをすることができました。
また明日からは新しい日が始まります。
座り込んでいる人には隣に一緒になって座り、歩き始めた人とは一緒に歩いて行く。
そんな風にしながらこの街の復興をこれからも皆で協力していきましょう。」

きっとこの街は復活します。その日を信じて、一歩ずつ歩んでいきましょう。

(※写真 "110801川開きステージ")

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